
最近マジで中国は日本の数年先をいってしまってるな。。と感じています。
その1つとして中国で今普及している小売業界についてです。中国アリババが出資しているベンチャー「盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)」(※以後フーマー)ってご存知ですか?
そのフーマーの卓越したビジネスモデルは、AmazonのようなEC(イーコマース)に食いつぶされつつある日本でも逆転の糸口が見えるのではないか?と感じてしまったので、みなさんにも知っていただきたく情報をまとめてみました。
目次
中国アリババが出資したベンチャー「盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)」の展開するモデル

フーマーはいわゆる「スーパーマーケット」です。しかし今の日本にある一般的なスーパーとは少し違った形で展開しています。重要な点を噛み砕きながら解説して行きます。
フーマーの地域限定型ECというビジネスモデル
フーマーではリアル店舗を持つスーパーでありながら、ECも展開しています。しかしECといっても店舗周辺の近い距離のみの地域限定型ECというモデルにしています。というのもフーマーでは2つの形態で売上を上げています。
- 通常のリアル店舗によるスーパーマーケット型
- 店舗にある商品を自宅まで配達をするEC型
この組み合わせ自体が珍しいのですが、注目したいのがその配達の早さです。
みなさんもお使いになっているかもしれませんが日本でも配達時間の短縮は年々ヒートアップしています。都内だけなどかなり地域限定という制約がつきますが今はこんな感じです。
- イオンネットスーパー:3時間(5000円以上で無料)
- Amazon:60分以内(プライム会員限定)
- ドン・キホーテ:58分以内(配達料:税込750)
これらでも信じられないくらいの早さですが、フーマーは店舗から半径3キロ圏内であれば、店内に並んでいる約6000品目の商品はどれでも、30分以内に自宅まで配達可能としています。しかも配達料金はなんと無料です!
30分で自宅まで配達を実現する仕組み
それではどのようにしてフーマーは30分配達を実現しているのでしょうか。注文から配達までの流れはこのようになります。
- オンラインの専用ECサイトから注文を受ける
- 売り場の商品から社員がすぐにピックアップ(注文から約2分)
- 商品をバッグに詰めて、天井に備えたベルトコンベアに乗せる
- 出荷エリアまで運ばれる
- バッグを専用社員が電動スクーターで注文先に届ける
この工程で優れているのが、普段は通常どおり商品を置いている店舗を倉庫がわりとしても使用されている点です。通常ECを運用するにはAmazonのように在庫を抱えるために大量の倉庫を持つ必要がありますがオフラインで営業をしている店舗と併用することでとても効率的なビジネスモデルになっています。
オンラインとオフラインの融合
食品をECで買うとなると「品質はだいじょうぶかな?」と思いますよね。そこでためらってECに参入できないユーザーは多いと思います。そこでフーマーは以下の戦略で顧客を獲得してます。
- まずはリアル店舗で実商品を見てもらう
- 実商品が高品質であることを認知してもらう
- 利便性の高いECを使い始める
- 30分以内に配達してくれるので満足度が上がる
- ECの利用が増えることにより、フーマーの利用が増える
オフライン→オンラインと自然にスライドされる仕組みが秀逸です。これはスマートです。
また、さらに顧客満足を大きく上げる戦略がフーバーにはあります。なんと店内に大型厨房があり、少額のお値段で調理までしてくれるのです。
例えば、新鮮な魚を注文時にオプションで塩焼きをお願いする。そうすると熱々の状態ですぐに自宅まで届けてくれるのです。焼き魚のめんどくささを知っている方にはわかると思いますが、これは本当に嬉しいサービスだと思います。
利便性が高い有能アプリの存在
もちろんECサイトでの購入にはスマホアプリを利用します。これが超有能なのである。このアプリは店舗内でも使用することができます。その場合はスマホから買いたい商品のバーコードを読み取り、そのままオンライン決算ができてしまいます。もちろん、そのまま自宅まで宅配してもらうことも可能です。
ここで気になるのは商品のバーコードがなんでリアルタイムにECと連動できるの?ってことです。日本のプライスカードなどは紙媒体が基本なので想像がつきませんが、フーマーでは全ての表示を電子ペーパーとしています。なのでダイナミックに表示内容を変えることができるのです。
支払いはもちろん中国最大決算プラットフォームであるアリババのアリペイです。アプリに表示される決算QRコードで簡単に支払いが完了できてしまいます。ECでの支払いもオンラインのアリペイで支払いができます。この仕組みはアリババの購買データの蓄積が非常に捗るようになってます。そこから適切なレコメンドをECサイト上などでお知らせすることもできてしまうんですね。
日本でもこのモデルは流行るのか

それではこのようなモデルは日本でも普及することができるのか?を考察して行きます。
カギとなる日本国内での「配達する手段」
フーマーの強みである「3キロ圏内なら30分以内に配達する」が日本で成立するでしょうか?
日本の現状を見ると、宅配業界では社会問題になる程に人出不足に陥っています。そしてもそもそもですが、人件費コストが大きい日本ではフーマーのような「無料での宅配」はほぼ実現不可能な状況です。しかし、一筋の光としては日本にも「Uber EATS」が展開されているということです。
Uber EATSは簡単にご説明してしまうとこんな感じです。
Uber EATSって何?
レストランの料理をデリバリー注文したいお客が注文を入れます。この料理を運んでくれる宅配パートナーを近くのアプリユーザとマッチングします。
つまり、宅配サービスをしているレストラン側では宅配する社員を雇うことなく、宅配をしてくれる人を探して注文したお客に届けるという仕組みです。
- レストラン側も低コスト低リスクで利用することができる。
- お客としても低コストで注文できる
- 宅配パートナーとしても近場で多くの機会をもらえる
全員が嬉しい新しいシェアリンングサービスということになるんですね。
このようなサービスは、スーパー側で宅配専用の社員を雇うことがコスト的に厳しい日本では大変有効だと思います。より多くの人が地方で宅配の仕事が可能ということは、海外はもちろん地方にとっては都内との競争もすることなく労働に就くこともできます。僕としては普及に大きく期待したいです。
それとこれはかなり未来の話になってしまいますが、宅配の究極はドローンのようにほぼ無コストで宅配が可能になることです。こちらの分野の成長にももちろん期待しています。
生産者とスーパーを繋ぐ
そしてやはり生鮮食品で重要なのは「品質」と「価格」です。
フーマーでは店舗の近くにある海から新鮮な魚介を直接仕入れていたりしていますが、まさにこの仕組みは島国である日本でも通用すると思います。日本には農作物も全国的にも多いので、品質は割と容易にクリアされると思っています。
ここで大事になってくるのは「どうやったら低価格で消費者に届けられるか」です。もちろん国産で高品質であれば値段も高くなってしまいます。これは以下の3つを最適化するべきだと考えます。
- 卸売り・・・生産者と直接取引をする
- 運送・・・より低コストでスーパーまで届ける
- 倉庫・・・スーパー店舗内を倉庫代わりとして活用する
今だと「質の良い生産者がみつからない」「不作などのリスクが大きい」といったことから生産者と直接取引をするのが難しい状況です。しかし、近年様々なマッチングサービスが展開されていて、SENDのようなプラットフォームも出てきています。今後はこのようなサービスの恩恵を受けて、生産者と販売者の直接取引が簡易化されていくと予想されます。
運送に関しては上記でも挙げたUber EATS のようなサービスの流通版のサービスが望まれます。Uberの運送トラック版とかは特に有望なサービスだと思います。是非取り上げて欲しい分野です。
Amzonより早くて安心
Amazonといった巨大ECもここ最近は生鮮食品などにも参戦していて、日本の小売業の未来は危惧されている現在ですが、フーマーのようなオンラインとオフラインを融合させたこのモデルはAmazonを凌ぐ可能性があると信じています。
フーマーをお手本にした日本が目指すべきモデルの特徴についてまとめます。
- 日本に住む生産者が安心して作れる
- 流通で働ける人が増える
- 地域のスーパーでも大手ECに顧客を取られにくい
- 出向かなくても信頼できる近くのスーパーからいいモノが買える
どうですか?まさに今の日本を救うようなビジネスモデルではありませんか?
まとめ

いかがでしたでしょうか?普段行っているスーパーがこのような形になったらわくわくしませんか?
これらの仕組みは様々なサービスが最適に働いて初めて実現するものだと思います。テクノロジーは全てを解決する可能性をもっています。大事なのはこのようなサービスが出てきたときに、積極的に使ってみて正しくフィードバックしてあげることです。それが結果的に自分の生活を豊かにしてくれると思っています。
僕はこういった身近なものがこうなったらいいな。ということを考えるのが好きでよく想像しています。これからもテクノロジーの可能性を追っていきたいと思います。
以上、最後までお読みいただきましてありがとうございました。
今回は、中国から学ぶ日本のスーパーの未来について考えます!