
ブロックチェーンを活用したソーシャルメディアを運営する「ALIS」は11月7日、日本マイクロソフトと共同で開発をしていた「投げ銭API」のプロトタイプを公開している。9月に開発を公表したもので、インターネット上の感謝の気持ちをチップとして支払う仕組みで、これをブロックチェーンベースのトークンとして提供する。
ブロックチェーン上での投げ銭APIキターーー!
ということで、ALIS+Microsoftの投げ銭サービスをサクッとご紹介。
目次
今までの投げ銭サービス
投げ銭サービスは前から様々な形で実現を目指していましたが、その性質上、手数料が高くついたり法律上の問題などが原因で普及には至っておりません。そこでブロックチェーンはとても相性が良いと期待されているところでもあります。
実は、ブロックチェーンの投げ銭サービスと言えば日本では少し先行して流行っていました。ご存知かもしれませんが、モナコインの「tipmona」です。tipmonaはTwitter間でモナコインを投げ銭できることでとても話題になりました。
しかし、こちらはあくまで個人が運営しているもので、あくまでも遊びでしか使えませんでした。(それでも時代を先取ったこのサービス自体は十分すごいですが)
以前からお知らせしていますが、tipmonaは現時点では@palon_mの個人が運営するサービスであり万が一の場合もほとんど補償ができません。可能な限りの対策はしておりますが、不測の事態に備え多額を預けすぎないようにしてください。
— モナコインちゃんbot*再開しました! (@tipmona) 2018年9月9日
今回は、Microsoftという世界的企業がバックについたサービスですので、当然安心感は大きいですし本格利用される可能性は大きいです。
なので今回、僕は少し興奮気味である理由です(笑)
ブロックチェーンの投げ銭サービスの可能性

どんな仕組みなのか
今回ALISからプロトタイプ公開された「投げ銭API」の特徴はこちら。
- EthereumのPoA(Proof of Authority)チェーンを使うことで投げ銭の発行に現実的な承認時間を担保する
- 運用のコストを軽減しながらセキュアに構築できる仕組みを提供する
- 利用者はHTMLボタン等でサイトへ埋め込むことで利用可能
- 世界トップクラスのクラウドサービスを持つMicrosoftと共同開発
信用のある特定のノードが承認作業を行うことにより、承認時間を大幅に短縮できます。例えばブロック生成がBTCの場合は10分かかるが、たったの5秒というのも可能になります。リップル(XRP)のようなPoC(Proof of Consensus)との違いは、承認者は組織ではなくバリデータといわれる信用できる人々の承認でブロック生成となります。バリデータは住所や名前なども公開され身元調査で犯罪歴のない人が選出されています。とはいえ、不正がおこなわれない証明にはならないのでDappsを使ってバリデータの追加や削除を投票にておこないます。
このサービスのメリット
今回、APIが公開されることの最も大きなメリットとしては、「誰でも容易に使うことができる」というところにあります。
ブロックチェーン(仮想通貨ではなく)の最大の課題として、技術者が世界的に圧倒的に不足しているので、活用したくてもシステムへの適応ができないことだと僕は考えています。
なので、ALISさんの今回のようなとりあえずプロトタイプでもAPIを公開してしまうやり方はとても素晴らしいです。結局、使ってもらわないと何がメリットなのかもわかりませんからね。
どんな使われ方をされるのか

投げ銭サービスが気軽に使えるようになったとしましょう。それでは、いったいどんな活用ケースがあるのでしょうか?
僕の考えでは、大きく分けてと「身近な狭い経済圏で使われるパターン」と「広い経済圏で使われるパターン」の2つになると想像しています。
例えば、このような使われ方が考えられると思います。
身近な狭い経済圏
まずは身近な狭い経済圏での使われ方についてです。
- 地域の好きなお店に投げ銭
- 地元の好きなローカルバンドに投げ銭
- オンラインサロンの頑張ってるあの人に投げ銭
- アプリ内ソーシャルで好きな投稿者に投げ銭
これらで使われるメリットとしては、マネタイズしにくい個人や小さな企業でも気軽に利用できる点です。投げ銭の見返りにファンが喜ぶクーポンや特別グッズなどで、ファンだからこそのインセンティブを生みやすくとても有効です。
そして、信頼関係で成り立っている両者では、非中央集権で管理されていることは優れた仕組みとなります。なぜなら、通常の法人通貨とは違い、トークンの流動性がクリアになるからです。
「個人の好き」が多様化してきている現代では間違いなくこの用途の需要は高まってくるでしょう。
広い経済圏
続いて広い経済圏での使われ方についてです。
- プロスポーツ球団で好きな選手に投げ銭
- 好きな芸能人やアーティストに投げ銭
- 好きな企業の研究開発チームへ投げ銭
- 自分と考えが同調する政治家への投げ銭
こちらは少し想像しやすいかもしれません。すでにファンクラブなどが存在していて、ファンクラブに入ることによりある意味、投げ銭のようなGiveを消費者側からは既にしているかもしれません。
しかし、ここでトークンを利用することのメリットは、トークンの人気によってその価値が大きく変わることです。
こちらの使われ方では、投げ銭をするトークンは法定通貨での購入以外に、例えば好きなプロ野球のチームに球場に応援をしに行ったり、ファンイベントに参加をしたりするとトークンを見返りにもらえる仕組みにします。または、投げ銭で応援した選手が活躍したら見返りでもらえる仕組みもいいかもしれません。
つまり、発行する側は還元する仕組みも自由に設計できます。そして、その組織が人気となった時は応援したい人が増えることによりトークンの価値も高まるという点がとても重要です。
一生懸命応援して報われた時は、経済的な報酬を受けることができる。これほど魅力のある投げ銭サービスはありませんよね?これが僕の考える「ブロックチェーンでの投げ銭は相性抜群」である最大の理由です。

まとめ
いかがでしたでしょうか?「ブロックチェーンでの投げ銭」について魅力が伝わったでしょうか?
これは実装されたサービスがない限り、絵に描いた餅です。しかし、これがMicrosoftのクラウドサービスで実装可能になれば多くのエンジニアが容易に利用することができます。
こちらのサービスは未来の経済圏を大きく変える可能性があります。大いに期待しましょう!
それでは、最後までお読みいただきましてありがとうございました。
11月18日から20日まで東京ミッドタウン日比谷で開催されるブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo 2018」の編集部さんがこちらの記事にて、ALISの創業者で代表取締役の「安昌浩」さんにショートインタビューをしております。是非こちらもご参考ください。