
今回ご紹介する書籍は元マイクロソフト社長である成毛 眞(なるけ まこと)さんが著書である、その名も「Amazon」です。書籍紹介サイトであるHonzの創業者でもありますので、素晴らしい内容でした。経歴通り、ビジネスモデルやテクノロジーに関しても当然深い知識をお持ちですので、深い内容になっています。
この本の真骨頂は、「なぜAmazonはここまで大きな企業になったのか」「Amazonのビジネスモデルから学ぶべきところはたくさんある」というところです。
これらの情報が濃密に記されています。これらは、すべてのビジネスパーソンに必読の内容といっても過言ではないです。未読の方は是非、読んでみてください。
さて、このブログではテクノロジーを取り扱っていますので今回はAmazonが取り扱っているテクノロジーのみを中心にご紹介・考察をしていきます。
目次
Amazonをこれからを支えるテクノロジーとは
AmazonGOの可能性
ニュースなどで既にご存知だと思いますが、レジがない店舗をAmazonは一般向けに開店もしています。(アメリカのみ)
仕組みを簡単に説明するとこうです。
- 入口でコード(Amazonアカウント)を認識させて入店👉誰だがわかる
- ほしい商品を手にとってカゴに入れる👉誰が何をカゴに入れたかわかる
- やっぱり要らない商品はカゴに戻す👉誰が何を棚に戻したかわかる
- そのまま出口から出るだけ👉カゴにある商品分だけAmazonアカウントで決済される
夢のような話ですが、これは最先端のセンサを駆使すれば理論的には可能です。
主に使われるセンサとしては「2D/3Dカメラ」「マイク」です。これが大変なメリットです。
日本でもレジなしとはいきませんがセルフレジを実現しています。
GUでもう体験している人もいるかと思いますが、全ての商品にRFIDという電子チップをつけてカゴの中にどの商品が入っているか確実にわかるというシンプルな仕組みです。
一見するとこちらの方が確実ですので優れているように思えます。しかしここで問題になるのはコストです。
現状でも1チップ数円のコストがかかっているそうです。2025年には1円にまでは下がると予想されていますがこれでも高コストとなります。
特にコンビニのような低単価の商品を扱う際には不向きです。
それがカメラとマイクといったセンサのみで実現できるとすればどちらが未来あるプラットフォームかはお分かりいただけると思います。
以上を踏まえてにAmazonGOの導入にはこのようなメリットもあると予想されます。
- 人手不足の解消
- リアルタイム動線管理ができる
- 商品配置の自動最適化
- 万引きゼロ
- レコメンド機能の強化
- 超低コスト店舗運用
そして成毛さんが最も強く主張しているのは、AmazonGOが完成したらこれを「外販」することだと言います。
リアル店舗でもプラットフォーマーとして君臨することになります。自身で作ったサービスを外販して主導権を握る戦略は今まで通りの最強の戦略です。
AmazonGOとシェアリングエコノミー
とても面白い視点だったのでこれも紹介させてください。
AmazonGOを使って「UBER Earts」のような配送方法をしてくると成毛さんは予想されています。このような仕組みです。
- AmazonGO店舗近くの人がプライムナウで紅茶を注文
- 店内に居る来店客にその情報をスマホに転送
- 届けることができる人は配達承認する(早い者勝ち?)
- 配達が完了すれば、自動的に報酬を受け取れる
日本ではラストワンマイル問題が大きな課題です。
個人が気軽に配達の一役を担えるこの仕組みは実に素晴らしいです。実現してほしい!
AmazonEchoの真の狙い
アメリカで大ヒットしてるAlexa(アレクサ)ですが、何が特徴だと思いますか?
多くの人は「Amazonの注文が声でできる」「明日の天気を教えてくれる」「お気に入りの音楽を流してくれる」といった機能を挙げると思いますが、実はこれらはおまけでしか過ぎません。
Alexaには「スキル」という機能を拡張する仕組みがあります。(スマホのアプリのように)なのでスマホでできることはほぼ全てAlexaではできるようになります。
しかし、最もAmazonが狙いを定めている市場は「家電製品」です。いわゆるスマート家電と言われているもので最近だと「証明」「玄関の鍵」「エアコン」「テレビ」なども多く対応している製品があります。
近い将来、声だけで家の中の全てのことができるようになるでしょう。この時最も重要になるのが精度です。そしてその精度を上げるためには「いかに多くの声情報を入手できるか」にかかっています。
誰がいつどんなことを言うのか、多くの情報から学習してAIモデルを作っていく。使えば使うほど賢くなりユーザーにとっては使いやすくなっていきます。なのでAmazonEchoの本当の狙いは、いかに多くの場面で使ってもらいより多く情報を取っていきたいということになるのです。
EchoLookがファッション業界を根底から変える?
ファッションの革命児といえばZOZOを想像しますが、これもかなりやばいです。
まぁハード的にいえば、カメラ付きAmazonEchoというだけで、声だけで全身写真が撮れてインスタに投稿できるというあまりパッとしない印象です。
すごいのは専用のアプリである「StyleCheck」機能です。これは2つのコーディネートの写真をアップすると、どちらの方が色の合わせが良いかやイマドキの流行を捉えているかなどをAIが判断してくれます。
そうです。これもより多く世界から情報を収集できているAmazonだからこそできる機能です。このテクノロジーはこのような世界を作る可能性があります。
- いつでも個人的な細かいファッションアドバイスをしてくれる
- 手持ちのどの服と合わせればいいか、教えてくれる
- どの服を買えばいいかレコメンドしてくる
つまり、これさえ使っていれば特にファッションの勉強などは一切不要で最先端の流行りに乗った服装ができるわけです。
もちろん、ここでレコメンドしてくる服はAmazonの自社ブランドに寄ってくるとは思いますが、安くてイケてるなら買ってしまうでしょう。
ドローンが宅配する世界はすぐそこ?
AmazonGOのところでラストワンマイル問題について触れていますが、Amazonはもっと未来を見ています。
その未来とは、ドローンを使って無人配送も視野に入れています。
「プライムエアー」という名のサービスでこれらを実現しようとしています。
計画では総重量25キロ未満のドローンを高度120メートル以下で飛ばし、重さ約2.3キロまでの商品を30分以内に配送する
これも夢のような話ですが、既にイギリスでは民間テストを実施しています。技術的にはもう現実味を帯びているのです。
そして驚きなのがそのコストです。専門家によると一回あたりの配送コストはなんと、2セント程度と格安で可能とのこと。バッテリー充電台もごくわずかで動作するので、1日当たりでも約1ドル(120円ほど)の費用で済むというからすごい!
さらに衝撃的な構想をAmazonは持っています。
ドローン配送での課題として、倉庫から都市部への届け先との距離がありすぎるため、ドローンの飛距離では難しいとうのがあります。これをAmazonは「空飛ぶ倉庫」と「空飛ぶドローン基地」という形で構想しているそうです(笑)
思わず笑ってしまうような構想ですが、この案も特許を申請済みなようでガチである可能性が高いです。国により様々な規制があるので、これらの規制の壁を越える必要がありますが、やがてテクノロジーが全て解決することでしょう。
まとめ
一部だけですが、Amazonのテクノロジーについてご紹介させていただきました。
Amazonのとんでもない可能性を感じていただけたと思います。僕たちはこれからまだまだAmazonに染められた世界を生きることになりそうだということがこの本を読むとわかります。
ビジネスの話は横におけば、テクノロジーが全ての人の夢を実現する素晴らしい時代だと思います。この本を気になっている方おりましたら是非読んでみることをオススメします!
Amazonを学べばテクノロジー最先端がわかる。