
VRについて心理学教授が書いて話題になった「VRは脳をどう変えるか?」を読みました。
これすごいです。筆者のVRの未来についての考察が面白すぎた!
ということで、僕が学んで面白かった点などを書評を交えてご紹介します。大きく分けてこの4つをテーマにします。
未来のVRについて今回扱う4つのテーマ
- 経済を変える
- 医療を変える
- コミュニケーションを変える
- 教育を変える
普段僕たちに馴染みの深いテーマです。それではどうぞ。
目次
経済を変える

環境問題を解決する可能性
オーバービュー効果ってご存知ですか?
漢字で書くと「地球展望効果」。宇宙飛行士が宇宙から地球を眺める経験の後で意識変革が起こることが多いので作られた言葉です。
つまり、あまりに大きすぎる地球を前に、一部の国際政治などが小さい問題に感じられたり、森林破壊などを実際に目の当たりにすると強烈に環境問題を意識するようになるそうです。
人が自らの視点で体験することはそれほど強烈であるのです。
(本では「人は何かを直接自分で体験すると、それに対する見方が変わる」と表現されている)
紙を大切にしなさい、水を大切にしなさいと限りある資源を大切にする教育を僕たちは子供の頃から言われてきていますが、実際にはほとんど心に響いていません。
もし、世界中の人々に対してVRで直接環境破壊について体験させたら、もしかしたら環境問題は一気に解決するかもしれません。
特にお金もかけず、時間もかかりません。超低コストで解決できる可能性がる唯一の方法かもしれない。
全ての遊びが低コスト化
休日に家族や恋人同士で遊びに行くところといったらどこでしょう?
動物園、水族館、ディズニーランド?
これらの施設は、運営するのにどのくらいコストがかかるでしょうか?詳細は語りませんが、莫大なコストがかかっていることは想像に難くありません。
もしこれが、VR化したらどうでしょうか?もちろんよりリアルに感じる技術が整わないと成立しませんが、将来的にはそうなるはずです。
運営コストがほぼゼロで、しかも人体的なリスクを考慮しなくてよいので(心理的には必要かもですが)「より凶暴なライオンを間近に」、「本当に空を飛ぶスペースマウンテン」なんて可能かもしれません。
消費者目線でもそこに行くための交通費はゼロ、入園料はVRストリーミングになるとすると今と比べれば当然格安になるはずです。
VR内で船やプライベートジェットを買って世界位一周旅行、ロケットを買って宇宙旅行もできるでしょう。
本来であれば100億円でもできないことが、僕たち庶民が誰でもこれらの経験ができる可能性があるのです。どうですか、ワクワクしませんか?
医療を変える

PTSD(トラウマ)を劇的に回復
米国9.11同時多発テロでは、死亡者3000人の被害のほか、それを体験したことによりPTSDいわゆるトラウマの心理的障害をおった人が数万人いると言われています。
僕も驚きでしたが、VRによる治療でおよそ2000人の患者をトラウマから回復させた実績があるそうです!
なんでVRで?と思われるかもしれませんが、こういった具合です。
トラウマになる原因は、あまりにも痛々しい衝撃を目の当たりにした時に、人本来の防衛本能によりその記憶を受け入れないことにより頭と体に矛盾が生まれて様々な不具合が発生します。
そこで従来ではカウンセラーによる治療で少しずつ当時のことを思い出させて、少しずつ受け入れさせるという手法が主でした。(暴露治療という)
しかしこのやり方だと、難しい人が多いのです。この治療では患者の想像力にかなり依存するからです。
そこでVRです。VRソフトで当時のテロを詳細に再現させて患者に体験してもらうことにより無理やり当時のことを思い出させるのです。
これが劇的な効果があり、多くの患者を救いました!まさにVRと相性の良い治療となります。
痛みからの解放
医療の世界で最も患者にとってツライことの1つは「痛み」だと思います。
治療に伴う痛みは、もちろん治すために必要なことですが患者にとっては深刻な問題です。
そこで痛みを紛らすために、テレビゲームをさせたりすることがあるそうです。そこで「テレビゲーム」と「VRソフト」の2種類を患者に実験したところ驚愕な効果が判明されました。
テレビゲームではおよそ96%は痛みを考えてしまうという結果でしたが(ほぼ効果なし)VRソフトではなんと2%だったそうです!
テレビゲームに熱中した経験がある人は多いと思いますが、VRソフトではその熱中度は僕たちの知っているゲームのそれとは比にならないということです。
この効果であれば十分、鎮痛治療として活用できるレベルです。
身体拡張にも希望が
さらに面白かったのが、意志とは無関係に右半身の筋肉が収縮する脳性まひを抱えていた患者に、VRで右手が自由に動かせる体験をさせたところ、みるみる回復に向かったそうです。
この事実が意味することは、目や耳からの情報で脳を騙して脳内回路の神経にさえ影響するということです。
「3本目の腕」という実験が紹介されていましたが、もし3本目の腕があれば人の作業効率は上がるかどうかをVRで実験したところ、見事に人の脳は適応したというのです!
これは、もし将来的に本格的に人体ロボティクスの分野が進化した場合に、僕たちの脳内神経と連携させてリアルの世界でも身体拡張ができる可能性が高いということを示しています。
これめっちゃおもしろい!(僕は腕がもう2本欲しいと思ってます)
コミュニケーションを変える

アバターの課題と可能性
リモートワークを採用している企業も増えてきている現代では、既にビジネスの場でもリモート会議などは多く使われています。
それではアバターを利用したVR会議もすぐに普及するのでしょうか?
現在のビデオチャットも同様ですが、最も問題になるのは『実際に会って「握手をする」「お酒を飲む」といったコミュニケーションはVRで代替できないのか』ということになると思います。
実際のビジネスの場では、現実に顔を突き合わせて触れ合いを持つことが重要な要素になっていることは皆さんもよく知っていると思います。
レイテンシ問題
相性の良さとは何でしょうか?
その答えは同期性です。
人は、人と会話をしている際に自然と同じような動作や仕草をしています。その波長が合うと、会話は弾みやすくなりすなわち「相性が良い」状態となります。
リモートチャットではこれは実は大きな問題です。
ネットワーク通信に依存しているのでどうしてもレイテンシ(遅延)が発生します。そうすると、同期生がどうしても現実より取りにくくなるのです。
そこでVRのアバターでは大きく利点があります。Skypeなどでは映像を通信するのでレイテンシが大きくなるのは必然です。しかしアバターであれば3Dモデルはローカルマシンにあるので、表情データのみを通信すれば良いのでレイテンシは非常に小さくできます。
さらに、アバターでは目線が相手に向かないアイ・コンタクト問題や人目にさらす負担問題も解決できるため、リモートチャットと比較するととても優れているのです。
操作性と握手問題
皆さん「セカンドライフ」ってご存知ですか?2003年にサービス開始された仮想世界ゲームなのですが、まさに今のVRのように大きな期待をされていましたが、失敗に終わっています。
失敗した一番の理由は、自由度の高さに比例してキーボードとマウスを使った複雑な操作が必要になりハードルが高くなりすぎたことが要因だと見られています。
ここから学ぶべきことは、VRではより簡単で直感的な操作が求められるということです。
そして、体へのフィードバックも重要です。これはバーチャルタッチと呼ばれ、仮に相手から握手をされたら自分の手に圧迫感があれば、本当に握手をしているように感じれれます。
心理学では、握手などで人に触れると相手との親密性が上がるというものがあるのですが、研究結果では、このバーチャルタッチでも同様の効果が見られるそうです。
これが成立するとなるとアバターならではのメリットが生まれます。それは、コミュニケーションのスケールが可能ということです。
1つ例を挙げると、政治家がVRで握手できるという選挙活動をしたとします。すると、インターネット上で有権者と握手ができるとため、選挙カーで本人が回る必要なく高感度アップできるということです。
教育を変える

場所と時間を超えた教育
子供達にとって、「社会見学」は自分の知らない世界を知ることのできる、まさにより多くの経験値を増やすことのできる優れた教育です。
もしVRで普段では行けない特別な場所へ行けるのであれば、多くの学びがあるはずです。遠くの外国や火山の中といった場所へのアクセスは現代では困難だからです。
また、VRであれば時間も飛び越えることができます。僕たちが教科書だけで学んできた歴史をVRで再現すれば、より効率的にかつ深く学べるはずです。
しかし、歴史に関しては相当の注意が必要です。真実ではない確率が高いので教科書から排除、ということはよくあります。VRでは強烈に脳の記憶になるので、より正確な情報を元に作る必要があります。
最大の課題は、このような正確性が求められさらに360°動画を作成する必要があるので、莫大なコストがかかると想定されます。
どの機関がどのように作成するかは大きな課題となりますが、VRはデジタルコンテンツです。一度作ってしまえば全世界に配布可能です。是非、国が推し進めていってもらいたい。
最良の個別指導
今の学校の課題として、生徒に対して教師が絶対に「N:1」となってしまうことがあります。
これがアバターを使ったVR授業であれば、生徒一人一人の反応に応じて、バーチャル教師の言動を調整可能となります。
没入型VRでは生徒の動作を全て読み取って分析ができます。生徒によりどのような言動が理解しやすいかに違いがあります。
リアルタイムにこの処理を行うことにより、「N:1」の授業でもVRによって「N:N」の個別指導ができるようになるのです。
これは素晴らしいな。早く導入して!
まとめ
VRの可能性が少しでも伝わりましたでしょうか?
ここまで僕たちの生活に直接的に革命を起こせるテクノロジーはないのではないでしょうか。
本当にVRってそんなにすごいの?と思われている方は、まず体験してみてください。
「Oculus GO」であれば低価格ですが十分にすごさを体験できますよ。
もっと低価格で試したい方は、「Galaxy Gear VR」もおすすめです。
男性の諸君であれば、購入したらとりあえずVRアダルトを試してみて。衝撃なので(笑)
もしVRデバイス買ったら、ここのサイトに行ってみてね^^
以上です。それでは。