
ここ数年ですっかりビジネスの基本ワードとなった「サブスクリプションモデル」についてここまで詳細に書かれている書籍はないのではないでしょうか?そんな本書について僕が強く心に残った知識を要約してご紹介いたします。
サブスクリプションの何がすごいの?という方にその優秀さ・重要さを知っていただけたら幸いです。
目次
製品を売る顧客のことを知らない企業は死ぬ

ちょっと過激なタイトルにしてみましたが、これからは本当に顧客が見えていないとビジネスが成立しなくなるでしょう。製品ではなく顧客が中心と本書で何度でも主張されていましたが、まさにここが最重要となりますので、いくつかトピックを挙げます。
お試し版で様子をうかがう
音楽シーンでの一例ですが、未完成アルバムをサブスクサービス内でリリースをして、それを聞いたユーザーからの反応をもらってアルバムを完成させるという手法が試されてます。
これなんてすごく新しいですよね。これと似たような取り組みでNetflixが「オリジナルドラマの結末をユーザーに投票してもらって決める」なんてこともやってます。
これこそまさに、顧客のことを知ろうとする行為です。
アルバムについては少しずつリリースしていって、完成までの過程を見せることによってファンの心を捉えることができるという副産物もあります。
目的達成のために柔軟な一時的な提案ができる
未完成アルバムもそうですが、全てのサービスでまだ完成していないモノを提案できるのがサブスクの強みです。
例えば、みなさんが使われているスマホのアプリで考えるとわかりやすいです。
みなさんが使っているスマホアプリって頻繁にアップデートされていますよね?あれは、不具合の改修であったり、新機能の追加であったりと様々な変更を日々加えています。
これと同様で月額の料金を払ってもらう代わりに、どんどん良くなっていくことを約束することでビジネスとして成立させてしまえばいいんです。
パッケージ販売では完成させてからでないと販売できませんでした。もし、大変な時間をかけて開発したものが全く顧客のニーズとは的外れだった。なんてことになれば本当に最悪です。
良い意味で中途半端にリリースして、顧客のニーズに適合させていく方が、リスクも少なく長く使ってもらえるサービスとなり得るのです。
日常生活にシームレスに埋め込まれた直感的なサービスが勝つ
それでは、どんなサービスがよりサブスクに向いているのでしょうか?
それは、日常生活と密着であればあるほど良いです。サブスクは生活の一部となっていて、「もうこれなしでは生活できない」となるのが理想です。
サブスクモデルで最も成功している企業の1つであるNetflixはこれに上手く適応しています。
Netflixは昔ながらのテレビを見るという行為を、そのままサービスとしています。普段テレビを見ていた時間を自然とNetflixの消費に繋げることが容易だった点がここまでユーザー数を伸ばした要因でしょう。
このように、普段僕たちが何に依存していて何に時間を消費しているのかをいかに知っているかがサブスクモデルの成功率を上げると僕は考えています。
あなたは今どのサブスクサービスにお金を払っていますか?そして、生活の中でどんなサービスがあれば加入してしまいますか?そう考えるとまだまだチャンスは大きいはずです。
その答えはいつだって、僕たちが知っているんですからね。
モノではなくサービスで儲ければ全てがサブスクかできる

製品ではなく結果を売ることができる世界
IoT(インターネット・オブ・シング)とは何か?全てのモノがネットに繋がると何が起こるのか?それは、ただデータをクラウドに上げられることがメリットではありません。最も大きなメリットは、マーケット市場を製品を売る世界から結果を売る世界に変えたことです。
それってどうゆうこと?と思われるとはずです。
例えば、僕たちは歯磨きをするために歯ブラシや歯磨き粉を買っています。(買ってますよね?)そしてその目的としては「歯をキレイに保つこと」であることは間違い無いでしょう。
そこで歯ブラシに歯磨きの結果をデータで取れたとします。データがクラウドに上がることにより、「どんな歯ブラシや歯磨き粉で」「どんな磨き方をすれば良いか」をリアルタイムにレコメンドすることが可能になります。
そのデータを基に、定期的に歯ブラシセットが送られたり、レポートが送られる。これらにより、僕たちにとっては、最大の目的を果たすことができます。
皆さんは今のままご自分で歯ブラシを買いますか?それともこのサービスに加入しますか?より目的を果たしているのはどちらかなのは明らかです。
勝負はスケールではなくユーザーのエンゲージメント
エンゲージメントとは「どれほどの思い入れがあるか」ということです。
先ほどの歯ブラシの例ですと、歯ブラシを売る商売では、いかに多くの歯ブラシを売るかで売り上げが決まってきます。しかし、これからはそのような売り方では限界があります。
繰り返しになりますが、目的を果たしてくれるサービスの方が、ユーザーが強く魅力を感じるのは当然の話です。そして一度強い信頼を得てしまえば、継続して使い続けてしまいます。
強い信頼を得るためには、そのユーザーについて多くの情報を得る必要があります。それには継続的にデータのフィードバックを受けるしかありません。(同時にユーザーへのフィードバックも)
何よりも大事なのは、顧客を満足させ続ける仕組みづくりなのです。サブスクモデルはこれを成立させるために非常に優れたモデルだと言えます。
アップセルとクロスセルで顧客価値を高める
あまり聞きなれない言葉なので、ご説明します。
アップセル・・ 顧客が購入したその商品と同種で「より上位のもの」を提案し購入してもらうこと。
クロスセル・・ 顧客が購入したその商品とは「他の商品などを併せて」購入してもらうこと。
いわゆる「アップグレード版」や「併せ買い」などと言われるものです。これらは今までのマーケットでもよく使われてきた手法ですが、サブスクモデルではより強力なものになります。
今までの売り方ではこれらを成立させるのは困難なものでした。なぜなら、ユーザーがその製品をどんな目的で(どの頻度でどのくらいの深さなど)使うのかがわかりにくかったからです。
そこで、サービスとしてサブスクモデルで提供するとなると、ここがより明らかになります。また、サービスなのでグレード分けがやりやすくなるのも特徴です。
このユーザーの使い方であれば、このグレードにした方が良い・このサービスも併せて使用した方が良い、とより適切なレコメンドをすることができるのです。
これにより自社の売り上げが伸ばせることが重要なのではありません。(もちろん伸びた方がいい)最も重要なのは、それによりユーザーの満足度を上げて顧客価値を高めることができることです。
まとめ
いかにサブスクリプションというモデルが優秀であるかご理解いただけたでしょうか?
僕たちがより便利なものを好むということに関しては、未来永劫変わらない価値観です。そこに勝機を見出してどの企業もサブスク戦略をしていることは多いに納得できたかと思います。
もう顧客を無視した戦略は全く意味をなしません。
今やっている仕事は、どう顧客と関わりを持てますか?その仕事は本当に必要ですか?今やるべき仕事は何ですか?
そういったことを強く考えさせる内容です。お時間に余裕がある方は、本書をお読みいただくことをお勧めします。
今後のビジネスの大きな知識を得ることを保証しますよ。