
今回ご紹介するのは北野唯我さん著書の「転職の思考法」です。僕は北野さんはVoicyのそもそもラジオでよくお声は聞いていてそれで興味を持って読んでみました。
この本ですが、内容は普通に面白いし、全てのビジネスパーソンにオススメできる本でしたのでご紹介したいと思います。
僕自身、大学卒業後は地元の中小IT企業に就職して十数年同じ会社に勤めています。そんな僕にはとても刺さる内容でした。そこで、僕のようなシステムエンジニアは多いと思いますので、「システムエンジニア」という分野を主体にまとめていきたいと思います。
目次
マーケットバリュー(市場価値)を高めること
あなたは平均より上か下か?
この本でも最も重視されている言葉として「マーケットバリュー」というのがあります。これはよく言われていることですが、確かに転職を考える時に最も重要な要素です。
これは、あなたの社内での評価ではなく、その業界全体から見てのあなたの評価のことを指します。
つまりシステムエンジニアであれば、IT分野全体でのエンジニアとしての能力順で並ばされた時に、平均より下なのか?上なのか?もっと言うとトップ1割に入れるのか?ということです。
重要な軸となるのは3つ要素
それではどのようにマーケットバリューは決まるのか?
筆者は以下の計算式でおおよそは決まると示します。
技術資産×人的資産×業界の生産性(一人当たり)
人的資産というのは、これは人脈を指します。いわゆるコネですね。
正直これはあまりにもその人の過去や人間性に大きく関わってしまうので、再現性が低いと判断してこの記事では割愛する。
そこで、システムエンジニアが考えるべき「技術資産」と「業界の生産性について」を僕なりの考察を書いていく。
20代は専門性、30代は経験
まずは、技術資産から。
技術資産は専門性と経験の2つに分けられるとしていて、20代で専門性、30代では経験を重きに置くべきだと本では書かれている。これは僕も同意です。
そこで、僕が考えるプランとしてはこんな感じ。
20代では、専門的な知識をとことん身につける。これはシステムエンジニアからすると、プログラムのような技術を指す。僕がオススメするのはこんな知識です。
- 今後伸びそうな高級言語を最低2つ
- ネットワーク全般
- データベース全般
- webでのセキュリティ
- クラウドで何ができるか
- 素早くモックが作れるノウハウ
こんなとこかな。いずれも業界全体での平均以上を目指すこと。よくわからなければ、国家試験である情報処理技術者試験などを受講してみてもいいかもしれません。
そして、30代では経験を積む。それも、レアな経験であればあるほどいい。これはケースバイケースですのでオススメは難しいのですが、軸としてはこんな感じです。
- より多くのメンバを管理するリーダー
- より技術的にセンシティブな内容のプロジェクト参加
- IT化が珍しい分野のプロジェクト参加
- ビジネスモデルを立ち上げ
- 経営層のコンサルティング
リーダー経験などはもちろん、レアなテクノロジーを扱うのは価値が大きいと思います。後は、後半2つに挙げたような経営に関わる経験はエンジニアとしてはレアなので重宝されるはず。

伸びていく市場に身を置くことが最も重要
この本では、経験や人脈以上に業界の生産性を最重視しています。現状での大きさもそうですが、今後そこの市場が伸びていく会社にいるかどうかもよく検討しましょう。
コツとして以下の2つを挙げています。
- 複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目する
- 既存業界の非効率を突くロジックに着目する
エンジニアとしてはやはりITベンチャーをもちろん視野に入れると思いますが、この2つを満たすものはあるでしょうか?
1つは、僕はブロックチェーンをビジネス活用しているベンチャーは満たしていると思います。現に、今はブロックチェーンエンジニアは世界的にも不足していて価値は高まっています。
あとは、フードテックなんてのも面白いと思っています。人が生きる上でマストな食という分野で、農家やそれに付随するサプライチェーンはあまりIT化が進んでいません。ここに思い切って飛び込んでみるのも面白そうです。
「心からやりたいこと」がなくても悲観する必要はまったくない
『being型』の君へ
僕はこの本を読んで、転職の知識について多くの学びを得たのですが、最も心に刺さったのはこちらの内容でした。
「何をするか」に重きをおくto do型と、「どんな人でありたいか、どんな状態でありたいか」を重視するbeing型の人間がいる。99%の人間はbeing型である。だから、「心からやりたいこと」がなくても悲観する必要はまったくない。
今まで僕が読んできた自己啓発系の本には「自分の好きなことをやれ」「どうしてもやりたいことを見つけろ」といった内容がほとんどでしたが、正直、「それが見つからないから悩んでいるんだけどな・・」という気持ちを抱いていました。
そんな中、筆者である北野唯我さんはそんなのを見つけられる人は全体の1%くらいに過ぎない、と断言しています。むしろ、見つからないのが普通だと。これはなんか救われるような内容でした。
残り99%はbeing型の人間で、「どんな人でありたいか、どんな状態でありたいか」を重視するというのは僕はとてもしっくりきますし、まさにこれだと思います。
そこで、この2つの状態を保つようにすれば良いと言います。
- 自分の状態
- 環境の状態
自分の状態を整えろ
自分の状態とは、マーケットバリューを高めることはもちろんなのですが、その上で仕事でつく嘘を最小化することを目指します。
これは本当にわかる。仕事をする上で「このプロジェクトで自分は成長しない」「この作業は本当の意味で会社の役に立たない」というものをやっていると全然楽しくありません。
仕事だから、ということで諦めることは絶対にしてはいけないということだと思います。自分の状態を作り上げることはいい仕事をする上でも不可欠な点なのです。つまり、そこで諦めるということは会社全体で見ても損益につながる事になります。
やりたくない事があれば「なぜやりたくないか」を組織で考えて、仕事の分担ややり方の改善などをすればいいのです。それこそが会社と自分の成長になります。
あとは環境の状態
そうして、自分の状態を仕上げたらあとは環境の状態です。判断基準となるのは、「どうしても変えられないやりたくない事があるか」「緊張するほどの難易度の仕事があるか」です。
どちらかがある場合は、部署を変える・もしくは転職を考えるべきです。
北野さんの理論はスッと入ってきますし、非常に明快です。
自分にラベルを貼れ
最後に、強みを持つ方法をご紹介します。
好きなことを見つけられなくても、強みを持つことはできます。そこで北野さんは自分にラベルを貼ることをお勧めしています。
仕事をする上で自分の得意なことは少なからずありますよね?僕の場合はこれかなぁ。
- 新テクノロジー博士
- クラウド設計なら俺
- 問題火消し処理班
最後のはちょっとダサいけど(笑)でも僕はそんなポジションにいます。
そしてとりあえずラベルづけをしたら、仕事を選択する軸として「そのラベルが強くなるかどうか」で選ぶようにしましょう。
強みとは詰まるところ、「ポジションを取る」ということです。そのポジションでは誰にも負けないぞという意思を示すことは誰でもできるはずです。
これもわかりやすいなぁ。これは目指したい自分でもいいそうです。新人に絶対これは教えよう^^

「転職の思考法」を読んだまとめ
僕は比較的、このマーケットバリューについては若い頃から意識して仕事をしていました。
それはたまたま意識の高い先輩がいて(その人は転職して今はいない)その人が常に「まずは世の中で平均点が取れるエンジニアになれ」と言ってくれていました。なので僕の視線は社内ではなくなるべく社外に目を向けることができました。これは非常に幸運でした。
その大事さの再認識ができたこと。これがまず読んで良かったことの1つです。
そしてこの本ですごいと思うところは、「実際に転職する際に罠になりそうなこと」「転職エージェントとの付き合い方」「面接で聞くべきこと」などがより具体的にわかりやすく語られているところです。
この本はストーリー形式になっているところもいい。面白くって一気に読んでしまった。(2時間くらいでした)
サラリーマンとして働いているあなた、特に若い人。この「転職の思考法」は必読です。