【天才を殺す凡人】天才を生かしてあなたが企業の中で出世するための唯一の方法。

天才を殺す凡人
こんにちは。ITブロガーのマサタカです。これは名作だわ。

北野唯我さんの「天才を殺す凡人」を読みました。いやーこれは久しぶり感動というか僕の思考を飛躍的に高めてくれる内容でした。

内容的にはなぜ日本企業ではイノベーションが起こらないのか?という散々議論され尽くされた命題ですが、新たな視点と明快な原理が書かれています。

この本を読んで、僕なりに「じゃあ僕たちはどうすれば良いのか?」を考察してみました。もしこれを読んで意見がある方は是非TwitterにてDMして欲しいです。→@masataka_net

 

天才を殺す凡人の原理

まずは前提知識として、本書にある「天才を殺す凡人の原理」を簡単に説明しておく。

 

企業のイノベーションが起きない原理

イノベーションを起こす種を創造するのは「天才」要素を持つ人材のプロジェクトを推し進める必要がある。これが現代の企業体制だと成立しないのが原因。

成立しない理由としては、「価値を測るための指標」に問題がある

引用参考図①

引用:http://yuiga-k.hatenablog.com/entry/2018/02/23/113000

偉大なビジネスには「作る→拡大→金を生む」というプロセスが必ず必要。拡大というフェーズではCVRやLTVといった事業KPIが、金を生むというフェーズではPLやBSといった財務会計KPIが存在している。

ここは科学される経済学なので近年ではより発展してきている分野。よって余計に重視されているKPIなので、適切なKPIが存在しない「作る」フェーズはますます排除されていく構図になる

「日本企業は高度経済成長期の成功体験が忘れられずに衰退している」の正体がまさにこれ。当時は拡大させるプロダクトが存在していなかったため、否応にも「作る」フェーズが求められていた。

 

天才を生かすために必要なこと

天才の生み出すプロダクトには絶対的なKPIが存在しない。筆者は間接的に測る方法として「反発の量」というのを挙げているが、これは現実的には不可能。別の手を考える必要がある。

現実的に天才を生かせる方法としては、断絶されている各フェーズの人材の架け橋となるアンバサダーの存在と筆者は提案している。

引用参考図②

引用:http://yuiga-k.hatenablog.com/entry/2018/02/23/113000

この図を見ると一見「エリートスーパーマン」がなんとかすれば天才を生かしつつ上手く経営も行なって行けそうに見える。しかし、これが上手く可能性は極めて低い。

理由は、企業というのは大多数が凡人の集まりだからだ。圧倒的な数の力が働くことによって、この凡人にも戦略の意図が理解されている必要がある。よって、共感性を持たない「エリートスーパーマン」単独では天才を生かすことはできない。

 

そこで筆者が一番注目している存在が④共感の神だ。根回しおじさんと比喩しているが、この存在が天才を生かすカギとなる。

根回しおじさんの役目はこの3つ。

  • 「③病める天才」のビジネスを理解してサポートする。
  • 「②最強の実行者」経由で「①エリートスーパーマン」に「③病める天才」のビジネスを理解してもらう。
  • 凡人の全体を対象にビジネスの意図を共感してもらう。

 

橋渡しをする各プレイヤーも欠かせないのだが、④共感の神(根回しおじさん)が社内にいるのか?は最重要事項となる。

ここまでが「天才を殺す凡人」理論の簡単な説明となる。

 

天才生かすために僕たちがやるべきこと

これらの原理を理解した上で、実際に僕たちがやるべきことを考察した。僕は誰でもそれぞれの立場になり得ると考えているので、各プレイヤー毎の考察となる。

秀才の人間はGoogleを見習え

秀才の立ち位置は、誰もが目指すところだと思う。天才への道と違い、再現性が高いからだ。しかし、本書の理論では秀才は天才を殺してしまう性質を持つ。

しかしながら、「エリートスーパーマン」なる存在は企業運営には絶対に必要だ。企業は拡大を続けなければならない。それには絶対的な再現性を持つ経営学が求められる。

その経営学とは相反する戦略が「天才を殺す」ことになるのが皮肉なのだが、これにはいくつか解決策があると思う。

 

僕が考える最も有効な手段はGoogle型経営思考だ。

Googleには有名な社内ルールがある。20%ルールといって、Googleで働く社員は労働時間の20%ほどを自担当仕事以外の好きなことをやっていい、というルールがある。

この意図としては、インターネットが主流の現代では「どのビジネスが正解か」はGoogleの役員となるレベルの秀才でもわからないのが当たり前という思考が前提となっている。

なので、今Googleが推し進めているビジネスが、もし完全にゼロとなってしまっても、社員が20%を使って手掛けているアイデアのいずれかがビジネスとして成立すれば企業として存続できる、というまさに「リスク分散」をしているのだ。

 

秀才の人間は、KPIに関係ない戦略を好まない。しかしそれはリスク分散という大事なピースである、という認識で少し余白を作るようにすれば良いのではないか?

「この余白はリスク分散に必要なのだ」という意思で、現在のKPIとは無関係なビジネスを実施する勇気を持つことが秀才サイドの人間がやるべきことだと僕は思う。

 

共感の神を探し出すために

本書では「エリートスーパーマン」以外のアンバサダーとして「病める天才」と「最強の実行者」が存在する。彼らは大多数を占める凡人の派生なので、どの企業にも少なからず存在していると思っている。

そして、おそらく社内では周りからの評価は全く異なると思うが(だいたい最強の実行者の評価が高い)どちらも同じ役目を担っている。

それは「共感の神を探しだし仲間になる」ということだ。

様々なタイプがいると思われる根回しおじさんの中から共感の神を見つけ出すのはかなり大変だと思う。これはもう継続して発信していくしかない

しかし、ここの橋渡しが天才を生かすためには不可欠なのだ。

 

発信を継続するために注目して欲しいのは、ここでもお互いのインセンティブだ。「病める天才」はよき理解者を求めて、「最強の実行者」は出世のタネだ。

「病める天才」は自分の創造したビジネスを世に送り出したい。そのためには理解者は不可欠だ。なので自らの創造のためにその理解者を求めるべき。

「最強の実行者」はプロジェクトを先導するエース的な立場ではあるが、自らの力で新しいビジネスを創造することができない。仕事はできるが出世できないのはこれが原因であることが多い。であれば、天才の創造するものを利用するしかない。そのためには天才を見極める共感の神を仲間に引き入れるべき。

互いに「自分のポジションを取る」ために共感の神を見つけ出すのだが、これは企業のイノベーションに繋がる大事な行動となる。

 

全ての凡人よ「共感の神」となれ

これまで説明してきた通り、大きな組織でイノベーションを起こすには「共感の神」は絶対不可欠となる。僕たちが今まで思い描いていた「社会を動かせる人間は超天才しかいない」というのは現実的には幻想で、カギを握るのはなんと僕たちのような多勢の凡人なのだ

となればどうしても「共感の神」になりたい。これもインセンティブとなると思うが、天才の理解者という立場でイノベーションを起こせれば自らのポジションも確立することができるのだ。何も持たない凡人が出世するには、もうこれしか手はないのである。

 

そこで、筆者は凡人が「共感の神になるために」は素質武器の2つが必要だと説いてる。

信じ抜く力

まず素質とは「才能を信じ抜く力」だ。素質というと生まれ持った能力のように思えるが信じる力であれば後天的にも身につけられると僕は思う。

一番必要なことはいろんな場所でいろんな人に出会うこと。そこで「こいつだ!」という人を探せるかが一番難しいところだし運の要素も強いと思う。

この運をたぐりよせるには「とにかく行動する」が一番効率が良い。飲み会や食事会に行くのはもちろん、普段行かない交流会に参加してみたりととにかくいろんな人に出会う場を設ける。

行動するのには才能はいらない。とにかく積み重ねの努力のみで十分なのである。

 

「自らの言葉」という最強の武器

本書では凡人の最強の武器は言葉としている。自らの言葉というのは、自分のやりたいことや本能的な言葉であって一切他人の作ったかっこいい言葉を排除した言葉を指す。

といってもこの言葉を使うのは非常に難しい。そこで本書では2つのヒントが示されている。

  • 他人の言葉をデトックスすること
  • 白状すること

 

これ簡単にいうと、「小学生でもわかる言葉しか使うな、そして嘘をつくな」ということだ。

こんな言葉を使ったらかっこいいと思われるかも、とか本当はこうは思ってないけど会社の方針だし・・という言葉を使ってないだろうか?これらを全て排除しよう。

難しいのはわかっている。だた、これも才能はいらない。とにかく素直になればいいだけだからだ。

 

根回しおじさんよ、天才に尽くせ

世の中には根回しおじさんはたくさんいる。なぜなら特に尖った才能も必要なく、年齢も若くある必要はない。しかし彼らは方向性を間違っているのだ。

自分の居場所や出世のために根回しをしてはいけないのである

凡人がゆえ、そうしたいのはよくわかる。少なからず僕も同じ考えを持っている。しかし、根回しおじさんはGiver(与える者)でなくてはいけない。そう、他人のため、天才のためにその人脈を尽くすのだ。

尽くす精神を持つ。これこそが、根回しおじさんを最大活用する唯一の方法なのだ。そして根回しおじさん自身も出世や社会善のための唯一の方法だと僕は考えている。

出来るだけ多くの根回しおじさんがGiverになること」が日本企業のイノベーションにとって最も重要なカギになるはずだ。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?あなたはどの立場を目指して、どのようなことをすれば良いか具体的に見えてきましたか?

今回の僕の考察では、いずれの立場からでもそれぞれ必ずインセンティブが示せるような案としました。理由は、人はインセンティブがないと絶対に動かないからです。ここを無視した設計は理想論で終わってしまうのを知っているからです。

北野唯我さんの独特かつわかりやすい「天才を殺す凡人」理論は僕の視野をクリアにしてくれたし、イノベーションを起こすために企業の中でどのようなアクションを取っていけば良いかを具体的に考察できたことが嬉しいですし、幸運でした。

もしこの考察が皆様の会社内で活用できるのであれば、これほど嬉しいことはありません。