
今回ご紹介する本は「父が娘に語る経済の話」です。
この本の特徴はタイトルにある通り、まだ社会に出る前の娘に語るような言い回しで経済について書かれているということです。
できるだけわかりやすい言葉で、そして童話や有名な映画の話(マトリックスとか)を織り交ぜての主張が多いので、頭にスッと入りやすいところが大変よくできています。
経済の話を子供にすることってあまりないですが、「ここたけは未来を生きるこの子に伝えておきたい!」というエッセンスのみをかいつまんでご紹介できればと思います。
絶対に子供に伝えたい経済の重要エッセンス【3選】
格差の原因はその思い込み
格差が生まれた歴史として、「余剰」と「言語」がある、という話はとてもわかりやすかった!
格差がない時代から格差が生まれた瞬間っていつだと思います?
それは、生きるために必要なモノが余ったこととそれを記録するための言語が作られた時です。
現代でもこの格差が広がっているのは、余っている量が増え続けていることと記録するための技術も向上しているから、というのが容易に理解できますよね。
一番の問題は、なぜ余りを作れる人と作れない人の差が生まれるのか?ということです。
これははるか歴史をさかのぼると、「横に大地が広がる地域」と「縦に大地が広がる地域」ではっきりと分かれています。
ん?それが何?と思いますよね。何が違うか。
それは拡散力の違いです。
ある穀物を育てるのに最適な方法が見つかったとします。この時、同じ気候状況であれば様々な場所で再現できます。また、ある病気の克服方法が確立した場合も同じです。
たったこれだけのことなのです。欧米人が貧困層である南米人を下に見る傾向がありますが、人の能力の差などないのです。
貧困問題について子供が考えた時に、無意識的に差別的な視点が入ってしまうのは危険です。
自分の子供が常にフラットな目線をもって考えることができたら嬉しいです。
クラウドファンディングは資本主義の救世主?
価値にはお金で測る市場価値と名誉と権力などの経験価値があります。
著者の指摘では、今の資本主義は経験価値と市場価値か混合してしまい、交換価値のある市場社会に寄せすぎているといてします。
しかし、その利益の追求は実は最近のことで、それは借金が原因と言います。
今の資本主義で資本主義に成り上がるには借金をして起業家として勝負するしかないからです。(だから借金じたいは悪くはない)
つまり、富を得るには絶対に利益の追求は不可欠であり、すべての価値を市場価値で捉えてしまえのは仕方がないことだと思います。
じぁあ借金しなければいいのか?しかしそんなことをしていたら、誰も起業家となれないです。
ここを読んでいて僕が可能性を感じたのは「クラウドファンディング」です。
クラファンは実に革命的で今までの「借金→利益」の流れとは逆で、課題解決のためのお金を始めに集金することができます。
失敗してもリスクなし、なので利益を第一に考える必要もないので「本当にやりたかったこと」に集中することができます。
これが普通になれば市場価値のみが溢れかえる世界にも変革が訪れるのではないでしょうか。
自動化は破滅への道なのか、チャンスなのか
もう一つ本書で注目してあるのが自動化についてです。
世の中は自動化に向かっています。すると以下のようなスパイラルに陥ります。
「人の雇用が少なくなる」→「貧困が広がりモノが売れなくなる」→「自動化より人のコストが安くなるので雇用増える」→繰り返し
便利になるどころか、逆にどんどん貧しくなるこの負の連鎖を防ぐにはこの変化が必要だと思います。
「資本家がより儲けるために自動化を導入」→「やりたがる人がいないから自動化を導入」→「本当につまらない仕事は人がやらない世界になる」
このためにはどうすればよいでしょうか?
それは労働者達が低コストで働く必要がないくらいの資産を持つ世界になればよいのです。
いやいや、それが難しいから格差が広がってるんでしょ?!て思いますよね。
その解決のヒントが本書にはありました。それは富裕層のお金を分配するのです。
資本主義の欠点の一つで、資本を持っているほど更にら増えていくという特性があります。世界のトップ1%の人が世界全体の資産の半分以上を保持しているを知ってきました?
資本の世界のトップオブトップはどうやっても使えきれないほど金を持っています。それを受け取りたい人に自動配布される仕組みがあればよいです。
これは僕が考えた方法ですが、こんなのどうでしょうか?
- 提供するのは自由
- 受け取るのも自由
- 各ウォレットに暗号通貨で配布
- 提供者ランキングはオープン
資産ランキングなんてのはよく見ると思いますが、あれ見ても「こんなに金あるんなら分けたよ!」と思うくらいです。
ここで、本当に分配する金額でランキングをしたら、上位の人は多くの人に大絶賛されることになります。
つまり、金では得られない喜びを富豪は味わえて、世界のより多くの人は格差から開放されるというハッピーな世界になるのです。
ここでカギなのが、暗号通貨(すなわちブロックチェーン技術)です。
こんなことはどこの国もやらないはずなので、暗号通貨でやってしまうのです。
暗号通貨の本当の使い道はここなんじゃないか??と思えるくらい素敵な活用法じゃないですか?
まとめ
最近になって経済の本や記事をよく読んでいますが、こちらは大変わかりやすいし読んでいておもしろかったです。
経済以外にもマトリックスの話しで「人は地球にとって癌なのだ」というところもすごくおもしろい視点でした。
実はこの本では、クラウドファンディングについてや暗号通貨については今回僕が取り上げてるようには語られていません。
ビットコインについては「あきらかな欠陥があるのでどうなの?」くらいの感じです。
とにかく、経済がどう回っていてこれからどうなるのかを考えさせられる書籍となっています。
「父が娘に語る経済の話」はお時間あれば読んでおきたい一冊です。