【ついやってしまう体験のつくりかた】元任天堂の『人を動かすデザインを作るコツ』がすごい【まとめ】

ついやってしまう体験のつくりかた
こんにちは。マサタカです。

みなさんはデザインと聞いて、何を思い浮かべますか?

多くは、キレイなイラストやカッコいい見た目を思い浮かべるとおもいますが、最近ではユーザー体験そのものもデザインとしています。

デザインが今後のアプリやサービスにとって、最重要だと気づき始めたエンジニアはたくさんいるといるはず。

そんな中、けんすうさんがこんな本をオススメするツイートをされているのを発見。

今年読んだ本の中でNo.1になってしまった。すごい本。

だいたいの本はおすすめしたいんですが、これはおすすめしたくなくて、投稿を5日間迷ったほどです。https://t.co/zpFB0oxWzB

— けんすう👀@アル (@kensuu) August 16, 2019

あのけんすうさんをこれほどまで言わせる本は読むしかないと即購入。

 

これは、、すごい本ですね。僕の大好きな任天堂の元企画開発者でWiiなどを手がけた玉木真一郎さんいう方が書いているんですが、全体通してすごく勉強になりますし何より面白い!

僕の学んだことのメモとしてもブログに残しておきます。概要はこのブログを見れは掴めますが、僕のようにデザイン(特にユーザーエクスペリエンス)を学びたい人は絶対書籍も読んで見てね!

書籍でもある「直感」「驚き」「物語」の3つのテーマをそれぞれまとめていきます!

 



1.直感のデザイン(やりたくなるを作る)

直感 → 驚き → 物語 3建てのうちのまずは最初の「直感」から。

『仮説→試行→歓喜』をユーザーに体験させる作りにする

マリオがなぜ面白いか?

初めてプレイした時に、突然横スクロールに立たされる。え?どうするの?

マリオは右を向いている。右に歩くのか?歩いた。お?変なのきた。踏んでみる?倒せた!

これはとにかく右に進めばいいゲームなんだ!

この流れがユーザーにとっては面白いことになるのです。つまり、「こうするのかな?」という気持ちにさえることによって、ユーザーに面白さを感じてもらえるんですね。

そして、とっても大事なのが『自発的に学んだことは一生否定できないほどに深く信じる』という事実です。

仮説→試行の過程がないと、この信じるというのが欠けるんです。つまり僕たちはこの過程を経て、マリオは「右に進めばいい」というルールを深く信じてるんですね。

 

シンプルかどうか

「つい」を作るのに最も大事なのは「複雑にしないこと」です。人の行動を変えるのは、シンプルで簡単であるかどうかなのです。

これは結構忘れがちです。どんなに手の込んだ仕様だろうが人に使ってもらわないと意味がないです。あなたが消してしまったアプリは複雑だと感じてしまったからかも。

使ってもらうにはシンプルで簡単かどうか、これに尽きます。

 

初頭効果を利用する

マリオは初めのステージ1-1で、キノコ・フラワー・スター・1UPキノコを出現しているって知っていましたか?

これには理由があります。

人は、序盤の集中力が最も高いという傾向があります。仕事で午前中に大事な仕事を片つけてしまえ、なんてことがよく言われますが人の集中力は案外短いものです。

これは最近のスマホゲームでのチュートリアルでもよく使われますが、序盤に伝えたいルールはできるだけ伝えきってしまうのは定番手法となりそうです。

 

ユーザー全員が持っている記憶を利用する

ゼルダの伝説では謎解きの要素が、その楽しみ方の王道となっています。

例えば、クモの巣が邪魔をして先が進めないところがある。そこに木の枝と燭台の火が目の前にある。どうするか?

これが不思議なことにほとんどの人が、「そうか木の枝に火をつけて、クモの巣を燃やしてしまえばいい」と気づくのです。ここであの「チャラララ・ラララーン♪」が流れる。

「オレって頭いいー!」と思うことにより「このゲームおもしれー」となるのです

このように、誰もが生きている中での経験で思いつくようなことを上手く利用できれば、ゼルダの伝説のようなついやってしまうゲームとなるのです。

 

ユーザーは「良さ・正しさ」よりも「わかる」を優先する

そして最も大事なのが、ユーザーのわかるを第一優先に考えるとうことです。

プロの作り手として、ついクオリティや正しさなんてものにこだわってしまうのはわかります。ただ、とにもかくも一番大事なのは「ユーザーが直感的にやってしまう面白さ」です。

まずは「なんだこれ?やってみたい」と思わせて、手に取ってもらうデザインにする。クオリティや正しさなんてその後でいいのです。

ユーザーに寄り添う意識を常に持つことでしか「やりたくなる」コンテンツは作れないことがよくわかりました。


2.驚きのデザイン(夢中にさせる)

直感 → 驚き → 物語 続いて「驚き」について。

疲れと飽きの問題

「やりたくなる」を作り出せた次のステップでは、「疲れや飽き」が問題となります。

どんな人でも、この疲れや飽きが絶対にあります。なので、これも解決するデザインをあらかじめ用意しておく必要があります。

その、疲れや飽きを軽減させる仕組みというのが・・予想が外れる体験をさせるとういうものになります!

予想が外れるとは??どういうことか。本書ではドラクエでわかりやすく説明しています。

ドラクエでは序盤からシリアスな物語とちゃんとしたシステムでの戦闘が続き、「このゲーム、真面目なストーリーだ!」と思わせておいて、ぱふぱふ(笑)やカジノなどが突拍子もなく登場します。

まさにこれが驚きのデザインということになります。

ただしこれはタイミングを見計らって「驚き」を挟むという高等テクニックです。なのでこの本では、誰でもすぐに使える「タブーのモチーフ」だけで驚かせる手法が紹介されていました。

全部で10個ありますので、順を追って紹介します。

ポジティブなモチーフ群

まずは、ポィティブなモチーフ群を。これらはとてもわかりやすいと思う。

ポジティブ

1.性のモチーフ
2.食のモチーフ
3.損得のモチーフ
4.承認のモチーフ

これわかりやすく言うと、少年ジャンプ ですね。

あれは小学生や中学生でも誰でも面白いと感じさせるエロ(どの時期でも絶対1つはあるはず)や食(トリコとかゾーマ)、損得は勝負ごと(スラムダンクなど王道スポーツ系)です。承認は仲間と友情など(ワンピースなどこれも王道)が当てはまります。

つまり、どんな人間でも本能的に欲しているものがこれらです。最も使いやすいですが、これらのコンテンツは溢れているので、相当の工夫も必要です。

ネガティブなモチーフ群

続いてネガティブなモチーフ群を。

ネガティブ

5.汚れのモチーフ
6.暴力のモチーフ
7.混乱のモチーフ
8.死のモチーフ

 

これもマンガで例えてしまうと、ヤンマガやヤンジャンなどの青年誌で多用されますね。

青年誌になると、暴力やグロテスクなマンガは本当に多いです。また、ゾンビもの(ウォーキングデッドとか)やホラーなどの映画も人気ですが、まさにこれです。

つまり、目をそむけたくなるものを描いているか?です。怖いもの見たさなんて言いますが、人はこういったものを見たい欲求があるんですね。

 

とっておきのモチーフ

そして、今の世の中でよく使われている、流行りのようなモチーフがあります。まずはこれ。

とっておき①

9.射幸心と偶然のモチーフ

はっきりと言ってしまうと、ガチャ要素です。スマホゲームを始め、多くのゲームで採用されていますよね。

ギャンブル要素というのは、子供から老人までみんな大好きです。うちの子供なんて、延々とスマホガチャを引くYoutuberの動画見てますからね(これには流石に引く。。)

その体験は、ユーザーに何かを賭けされ、祈らせているか?は、非常に大事なモチーフです。

 

とっておき②

10.プライベートのモチーフ

そして最後は、プレイベートです。その人の過去や、個性を出せた時に人は面白いと感じます。

この本の例えではドラクエの主人公の名前を自分で決めさせたり、Vの演出で有名なビアンカとフローラで結婚相手を選ばせる、なんてのはモロにその人の性格に関わります。

その体験は、その人の性格が出るか?も意識してみよう。

 

物語のデザイン(誰かに言いたくさせる)

直感 → 驚き → 物語 最後にデザインするのは、「物語」のデザインです。

最近ではストーリーテリングという言葉をよく聞きますが、要は「それは誰かに言いたくなるか?」ということです。

テンポとコントラスト

まず、物語には2つ種類があります。

2つの種類
物語内容→何があったか
物語言説→どう伝えるか

 

何があったか、だけを重視してしまったらそれはただの参考書になってしまいます。逆にどう伝えるか、だけを重視してしまったら何が何だかわからない物語になってしまいます。

じゃあどうするか?

それは時間軸と情報量がカギとなります。ユーザーにいい感じにシーンを分けて最小限のみの情報しか与えずに、時間をかけて理解させていくのです。

つまりこれ、『伏線』ということです。

これどうゆうこと?まぁいっか → あの時のあれはこれだったのか!!

こういうマンガの展開があると、人に言いたくなりますよね?伏線の大事さは皆さんもよくお分かりだと思います。

 

成長している感

人生の中でに人が最も楽しいと感じるのはどんな時でしょうか?僕は「自分が成長している」と感じる時だと思ってます。

多くの名作ゲームではこの成長している感をとても大事にしています。その中でもわかりやすくて秀逸なのが、あのポケモンです。

ゲームが始まってすぐにオーキド博士からポケモン図鑑を渡されます。図鑑には151個の穴があり、「さぁ、全てのポケモンを集めるのだ!」と言われます。

こうすることで、僕たちはゴールを意識することができるので、安心して「ポケモンを捕まえる」という反復作業をすることができます。そして捕まえるほどポケモン図鑑が埋まっていくので、成長がすぐにわかります。

「全体像と穴を見せる→収集と反復→成長」と未解決に向かわせることで緊張感を維持できるという人の心理を上手く利用してるんですね。

 

選ばせるということ

マリオにはBダッシュというテクニックがあります。ご存知の通り、Bボタンを押して走るといつもより速くマリオを走らせることができます。

速く走れる分、高くジャンプができたりとメリットは大きいです。しかし逆に、操作が難しくなり、ミスをしやすくなります。

これはユーザーが好きに選ぶことができるのも大切です。

マリオに自信がある人はより速く軽快にゴールすることができるBダッシュで。自信のない人はゆっくり慎重に行けばいい。これは個人差を埋める難易度調整にもなります。

どちらかを選んでミスするとしましょう。すると「調子に乗ってBダッシュを使ったからだ」というようにそのミスが 自分ごとになる のです。

選ばせることで、いかに自分ごととなり本気で悔しかったり嬉しかったりさせられるか。そんな仕組みをサービスに是非取り入れたいものです。

 

面倒な仮想敵を作る

バイオハザードとかドラクエで、ストーリーの途中で弱いキャラなどと同行する展開ってよくありますよね?

あれは実は意図してやっているそうなんです。

その意図というのは、あえて「こいつ面倒だなぁ」とプレイヤーが思うことによって、ゲームの主人公と同じ気持ちを共感させることができます。

気持ちの方向を揃えることによって、深い共感を作り出すテクニックとして覚えておきましょう。

 

最後はプレイヤーの意思に働きかける

様々な仕掛けで、ユーザーの没頭を促してきました。そして、いよいよ最後はユーザーの魂を最大級に揺さぶる体験が必要です。

ヒントとしてこれらのテクニックがあります。

究極の体験
・命のやりとり
・未知の体験
・解釈の余地
・スタートに戻る

 

命のやりとり」は最も簡単に感情をゆさぶれる手段です。なのでやはりいかに「未知の体験」を作り出せるか?はそのコンテンツの面白さのキモになると思う。

しかしこれらはあくまでもプレイヤーの成長に繋がらなくては意味がありません。なので、これらは全てプレイヤーの意思に任せる設計にしなければいけません。

その中でも「解釈の余地」は大事です。人気となるコンテンツの見られる傾向として、インターネットでいろんな人が「自分はこう思う!」という内容が書き込まれますからね。

また、よく使われる手法としては「スタートに戻る」があります。クリア後に最初に戻るパターンです。これも意味があります。

最初の場面に戻った時に「あー始めた時から比べると随分と成長したなぁ」とプレイヤーが考えてくれたら勝ちです。


まとめ

僕はデザインについては素人ですが、わかりやすい内容で大変勉強になりました。

著者が元任天堂の方なので「ゲームの作り方」がメインなのですが、アプリ開発やブログなどのコンテンツにも生かせる知識だと感じます。

著者が「この本に無駄なページは1つもない」と言い切るほど濃密な内容です。ぜひ気になる方はよで見てください。

おすすめ書籍です!