
中国のトレンドを日々勉強しているんですが、こんな本を見つけた。
え?TicTokが最強のSNSになるの??
ピンとこなかったんだけど、読んでみたらわかりました。確かにTicTok強い!
ということで、TicTokの何がすごくいのか。わかりやすく解説します。
目次
TicTokの革新的なところ
まずはTicTokの革新的な要素を簡単に。
検索からレコメンドへ
TicTokが他のSNSと最も違うところは「ユーザーの検索がない」というところだろう。
あるのはハッシュタグだけ。じゃあどうやってコンテンツを見るかというと「全てレコメンド」されてきます。
基本的に表示される投稿は1つ。気になったら見る、イマイチっぽかったら上にスワイプで次の投稿へ、という仕組み。
この仕組みが実現していることはたくさんあるけど、プラットフォームとして最も優れていると感じるところは「新規ユーザーでも入り込める余地がある」ところ。
現在のSNS覇者であるInstagram、Twitterでは既存インフルエンサーが強すぎて新規が参入してフォロワーを獲得しにくいという状況がある。
より多くのコンテンツがカギとなるSNSで、新しい風が入りやすい仕組みを持つTicTokが可能性を秘めているのがわかりますでよしょうか?
リアルとの距離感が抜群
レコメンドに寄せていることで、もう1つ有利だなぁと感じたところがある。
それは、「リアルとの距離感」だ。

かといってFacebookやInstagramとなるとリアルの友達と近くなりすぎて、コンテンツの幅が狭まることが多い。(知ってる人に見られてるリスクは大きい)
さらにコンテンツの内容もTicTokは抜群。音楽に合わせて短いショートムービーでいいのが発信者から見ると超お手軽。
さらに大きいのが「いいね」してもらえるモノにしなくては!というSNS疲れも起きにくい。
この距離感がちょうどいいので、適当に面白そうならまぁいっか(しかも顔出し)と発信する敷居が低くなってるのはコンテンツが増えるのにも大きく貢献している。
世界最強のAI企業
しかしそれを支えるのは、いかにそのユーザーに面白いと感じる投稿をレコメンドできるかにかかっている。
どんなにコンテンツ数が増えたとしても、ちゃんと刺さるものをレコメンドできない全く逆効果になるからだ。
ここが肝だ。TicTokを運用するバイトダンスは、このアルゴリズム技術がGAFAより優れている。
その理由は、TicTokはレコメンド技術を完全に軸にしているのだ。(GAFAにとってはレコメンドは一機能に過ぎない)
レコメンドだけがこれからのSNSに必要な技術に初めから特化していることが、これから世界の覇者になるという1番の理由だ。

カテゴライゼーションにする理由
レコメンドについてなるほどと思ったのが、ローカライズでなくカテゴライズにしているところ。
この根底にあるのが、「若者の価値観のフラット化」。
今の若者はスマホを介して同じものを楽しいと感じ、美しいと感じるようになりました。これはもの凄く大きいことで、どこに住んでいるか?の価値観をぶち壊しました。
これは世界展開するのに重要な要素で、米国でこのダンス系カテゴリの動画が流行するのであれば、ヨーロッパ、アジア、南アフリカとどこでも流行する可能性を秘めているってことです。
TicTokのイケてるマネタイズ
そしてマネタイズについても。
リストアップ型がカギ
基本戦略としてまずは若者層にウケるサービスにする、というのがある。
これは日本でのTicTokでの立ち位置を考えてもよくわかると思う。
しかしそれだけではダメで、ここからユーザー層を上げていく必要がある。その理由は、消費するお金を持っている層まで届かないと経済的スケールが難しいからだ。
ではどんな戦略があるのか?まずあるのが「ライブ配信」だ。
日本でも17(イチナナ)やSHOWROOMなどがここを先行しているが、実は中国版TicToc(Douyin)ではこの機能が実装されている。
中国では大人も当たり前のようにライブ配信をしている。(驚き!)このノウハウを使って日本でもロンチしてきたら上手くいく可能性は相当高い。
そして「公式チャンネル」もある。スポニチは既に参入ずみだが様々なメディアがTwitterでやってるようなことをTicTokでもやってくれば中高年層も興味を持つはずだ。

インフルエンサーを育てる
SNSプラットフォームで最も重要なプレイヤーはどこか?それは間違いなくインフルエンサーだろう。

そのインフルエンサーをサポートする体制を持っているのだ。インフルエンサーのフォローワー獲得やコンテンツ制作までサポート予算を取っている。
先に挙げたように、新規ユーザーにも優しく、さらにインフルエンサーになるための支援もする。このあたりは他プラットフォームでは見られない。
不快な広告に未来はない
SNSの主な収入源は広告費だ。InstagramでもTwitterでもいつも見るアレです。
Youtubeをよく見る人は6秒CMを頻繁に見ていると思う。

面白いと思ったのが、飲食店でのコラボ。例えば焼肉屋さんだとしよう。「#〇〇苑のタレを作る」などで流行らせる。
このタレ美味しそー!となれば実際にお店に行ってくれる。さらにここで自分たちの作ったタレをTicTokにアップする。という流れだ。
これはユーザーのコンテンツにもなるし、お店側のプロモーションにもなる素晴らしい活用で、未来の広告モデルになり得る。

まとめ
この本の著者はずっと日本に住んで世界のSNSなどのアプリを浴びてから、中国に戻って衝撃を受けたとのこと。
で、全てのサービスの良し悪しを理解した上で、TicTokが最強となるのでは?という論調ですごく納得できた。
他にも、中国BAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)やラッキンコーヒーなど中国のトレンドのコラムなどあってすごく勉強になった。
今の中国とこれから日本で起こることがちょっと見える本書、オススメです。
