
直近1週間でエンジニアである僕が気になったテクノロジーニュースを勘所を踏まえてご紹介し、そこからトレンド考察をしていきます。
今週は、6本となります。考察のお題は「新テックで日本が中国に負ける理由」です。
最新のテクノロジートレンドをお届け
TikTokの中国バイトダンス、音楽配信でソニーなどと協議
曲が全部流れる版のTikTokという感じでしょうか。つまり「目でも楽しく聞ける音楽」のようなサービスであれば差別化できる。
音楽とダンスという世界共通で面白いことを共有するプラットフォームって実はすごい可能性なんだね。
米アマゾン、無料版の音楽配信サービスを開始 広告収入で運営
成人以上はほとんどPrime入っているから、狙うターゲット層は「学生」ですね。であれば思いっきり若者に振り切ったサービスにしてきたら面白そう。
Spotifyとは違ったTikTokのように若者のコミュニティが作れたら巻き返しの可能性もあるのではないでしょうか?
近畿大、全学生に「Slack」導入へ 絵文字もOK、教職員と気軽にやりとり目指す
大学でSlack導入は僕は賛成。
もう企業ではSlack(もしくはTeams)によるコミュニケーションは必須になってる。
なので、どういった使い方が効率が良いのか、便利なアドオンを使いこなす、など学生のうちに覚えておくという意味で素晴らしいことだと思う。
ブロックチェーン中国急伸 特許出願、首位アリババ
中国くらいになると国内プライベートブロックチェーンにすればすぐに成立できちゃう。参加するのにはセサミクレジットとの連携が必須とかにしちゃえば、より安全でより便利な通貨の出来上がり。
アリババは最強の企業だと思う。
中国・杭州市政府、失敗した起業家を救う「スタートアップ保険」をローンチ
1000個のスタートアップが失敗して保険金を払っても、アリババみたいのが一つ出てくれば、国としては余裕で得する。
一方日本では、出る杭を打ってアリババになるチャンスも潰してしまうのであった。(ちょい昔の話だけどね)
iPhone 11の「純正バッテリーケース」が実現する驚異の新機能
イケてるなぁと感じたのでガジェットネタを1つ。
『カメラボタンを押すと、ロック状態のiPhoneのカメラを瞬時に起動して写真が撮影できる。さらにボタンを長押しすると、ビデオの撮影が行える。』
これはいいよね。カメラ起動のひと手間がなくなるだけで、恩恵受ける人多いのでは?
今週のまとめと考察
今週は中国でのブロックチェーン特許数が圧倒している、スタートアップ保険をローンチ、など中国と日本差を感じてしまう情報が多かった。
そこで、日本は中国になぜ負けるのか?について考察する。
新分野の特許数の伸びが桁違い
ブロックチェーンはここ3年くらいで一気に研究が進んでいる。それにともなって多くの特許が取得されていますが、日本ではほぼ進んでいない。
日本とあまり変わらなかった中国は2018年時点7600件(日本は380件)と大幅に伸びていることがわかる。
日本は特許出願件数は世界から見てもかなり上位なのだが(米国・中国・日本がトップ3)新しい分野に関してもどうしても先手を打てない現状と見ていい。

特許を抑えるのがテクノロジービジネスの基本
中国に差をつけられている特許の数だが、それの何が悪いのか?だが、それはテクノロジービジネスの本質となる。
いわゆる新しいテクノロジーは、昔であれば圧倒的な効果をもたらすパッケージとして売ってしまえば大儲けとなっていた。
しかし、インターネットがもたらしたオープン化世界では、(オープンソースなどが主流となり)テクノロジー自体はすぐにコモディティ化する。なので、技術力が1番!となっただけでは中々儲けにはつながらない。
となると、「この仕組みは俺たちのモノ。使うんだったら使用料を払ってね」というのが可能になる特許が最もお金になる。
つまり、ブロックチェーンが当たり前の世界になった時に「この仕組みにすればすごく便利だ!」というプロダクトを思いついたとしよう。その時に中国が取得した特許に該当する場合、中国に対してお金を支払う必要がでてきてしまうのだ。(しかもずっと、、)

背景にある日本企業の体質
日本はなぜ特許が少ないの?の背景には「日本企業は新しい分野に投資する姿勢が消極的」というのがあると思う。
先日のヤフーとLINEの経営統合時の会見でも明らかになりましたが、各グローバルトップ企業と比較して「研究開発費」が異常に少ないのだ。
数値を比較しよう。(兆円)
Zホールディングス | 0.02 |
2.4 | |
1.1 | |
amazon | 3.2 |
アリババ | 0.6 |
テンセント | 0.4 |
GAFAは流石すぎますが、アリババやテンセントといった中国企業にも大きな差があることがわかる。

予算達成は本当に正義なのか
ではなぜこんなにも日本企業は投資をする姿勢がないのでしょうか?
ビジネスパーソンのみなさまも日頃肌で感じていると思うが、「年初に予算を経営層が決める→現場では予算達成が最大の目標」というのがどの企業でも最も大事な仕事となっている。
多くの中小企業ではこれが顕著で、「予算の売り上げがたってないのに、投資?ふざけんな」というリーダーが標準となっていると言ってもよい。
この状況の最たる結果が新しい分野に投資なんてほとんどしない日本を作り上げてしまっている。

予算と投資をリンクさせる
GAFAや中国企業を見てわかるように、投資の多寡と将来ジャンプできる高さが比例しているのは明らかだ。
それなのに、予算達成主義のせいで「わかっているのにできない」という不幸なジレンマが生まれてしまっている。
これはもう経営層が何かしらのルールを決めるしかない。
例えば、予算をつける。その内の売り上げの10%は将来の投資に使わなければならない、というルールにする。その際、どの分野にどんな投資をしたのかを明確にすることもルールにする。
すると、経営層としては予算のつけ方も慎重になるし(好き勝手高い予算もつけられない)現場サイドでも投資対象を真剣に考えざるを得ない。
このように、「必ず投資をしなければならない」体制とするのが手っ取り早いと僕は考える。

チャレンジはリスクヘッジ
新しいことにチャレンジすることは大きなリスクもともなう、と感じてしまうかもしれないが実は逆。
テクノロジー変化が空前絶後に早くなっている現代では、チャレンジしないリスクの方が遥かに大きい。
今まで安泰だった分野が一気にオワコンになるなんて、もう普通オブ普通。新しいことに手を出していないとそこでアウト。損は覚悟で常に新しいことをやる、そしてあわよくば特許がとれそうなら取っちゃう。
これがこれからの日本IT企業の王道戦略となるのではないか。
