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今週のまとめは「台湾のマスク不足国策から学べること」です。
新型コロナウイルスの影響で、世界的にマスク不足に陥っている。
そんな中、台湾のオードリー・タン氏が話題です。
- IQ180の天才プログラマーとか、
- 若干38歳でデジタル担当大臣だとか
すごく騒がれてるけど、その天才のマスク不足に対する采配が本当にすごい!
これは日本という国の枠組みのみでなく、いちIT技術者としても大変勉強になる話なのでまとめます。
目次
マスクの重要性は何か
まずは「なぜマスクをするのか」この目的をはっきりさせておきます。
その目的は「他者への感染予防」です。
勘違いをしている人が多いのはこれ。
「マスクをしても自分への感染を予防する有効性は高くない」という事実です。
つまり、僕たちが新型コロナに感染しないためには感染してる可能性がある人がいかにマスクを着用できるか、が最重要となります。
現在の一部の人がマスクを買い占めしてる状況は、最も自分が感染する可能性を高くしてしまっています。
このジレンマを上手く解消しているのが今回の采配です。
台湾のマスク事情にマッチした采配
台湾では9割を中国からの輸入に依存してます。
ですが中国の輸入が望めない中、自国で生産しているマスクがいかに国民の手に渡るかがカギになります。
しかし、台湾では人口約2300万人に対し、自国生産620万枚(2/27日現在)と供給不足が続いています。
そこで台湾ではこのような施策をとっています。
- 1月24日からマスクの輸出を禁止
- 生産されたマスクはすべて国が買い上げる
- 約6000軒の指定薬局で各1日400枚(大人用)を販売
- マスク在庫状況を公開した
- マスク購入に実名制を導入した
国がすべて買い上げるのもとても大胆ですが、僕が特に注目したいのは、下の2項目。
こちらを掘り下げていきましょう。
マスク在庫状況を公開
どうやって在庫状況を公開したか。
台湾国内の薬局にあるマスクの在庫データの把握には、衛生福利部(保健省)中央健康保険署と協力したそう。
そして、それをインターネット上に公開したのだ。
秀逸と思うのが、政府側で特設サイトとかを作るのではなくてデータのみをCSV形式で公開したこと。
今の時代、お役所が抱えてるしょぼいエンジニアが作るより、学生がつくるアプリの方が使いやすい、なんてことはザラです。
現に、データ公開後にすぐに優秀なエンジニアによってWEBサイトやアプリ、またはLINEボットなどが開発され公開されました。
ユーザーからすると、自分が一番使いやすいサービスを選択して使える。
より多くの人にリーチさせるにはこれが一番良い。
マスク購入に実名制を導入
そしてもう1つ秀逸なのが、マスク購入に「実名制」を導入したこと。
日本でよくある「おひとり様1つまで」は実質、制限できません。
それと比べて、購入時には保険カードの提示が必須+保健カードに購入履歴が記録されるのであれば、制限は可能です。
しかも、保険証番号の偶数と奇数で購入日も分けているのもすごく有効。
重要なのは、「より多くの国民にマスクが配布されること」なのでこの施策で一時的な不足にはかなり有効です。
前提として、在庫がわかる状態となっているため、業者による買い占めもほぼ不可能となります。
日本ではこの采配はできないのか
この素晴らしい施策ですが、日本ではできないのでしょうか?
メーカーに要請とかじゃなくて・・
マスクの販売データの公開はほぼ無理でしょう。
厚生労働省がデータを集める必要がありますが、これはできるのか?
現実を見るとほぼムリと思う。
だってこの段階ですら、医療機関へのマスク優先供給をメーカーに要請しているくらいですよ。
自主的にデータを集めるなんで、夢の話しのように思えます。
マイナンバー活用しようよ・・
それではマスク購入実名制はどうでしょう?
これはまず、マスク在庫状況が公開されていないのでそもそも効果が薄いです。
ですが、日本には保険証もマイナンバー制度もあります。
これらを活用すれば、日本でも可能と思えます。
しかしながら、総務省のマイナンバー活用を見たことありますか?(マジでない・・)
こちらも現実的にはほぼ可能性なしとみるのが妥当と考えます。
テクノロジーとIT知識
正直、台湾の施策はまったく難しいテクノロジーではない。
しかし、なぜ日本ではできないのか?
利権とか、いろいろな要素が考えられるけど一番はこれだと思う。
最善手を打つことを本気で考えて行動する人がいない
日本のIT大臣はPCを使たことのないおじいちゃんです。
日本にも台湾のオードリー・タン氏のような天才はたくさんいます。
ガチな人に決定権を持たせないと、最善手なんて打てるはずない。
日本は今回の台湾の施策から、学ぶべきことはたくさんあるはずです。
ブロックチェーンという正義
最後に、これらを容易にできてしまうテクノロジーについて。
やっぱりブロックチェーンでの管理は有能です。
- サプライチェーンからの工程を明確にできる
- 在庫状況を確実なデータとして保持
- 販売管理もやろうとすればできる
上手く活用できれば、絶対に不正ができない+今回のような施策を日常的に可能になる。
この仕組みをいち早く社会実装できる国はどこになるのか?

今週ピックしたニュース
僕が今週気になったもので、押させておきたいニュースをリストします。
ファーウェイによるアプリストアが登場。これでAppleとGoogleに対抗だ
ついにHUAWEIからアプリストアが。
Androidで動作させる以上、いろいろ制限が出てきてしまう。
なので、本格的にこのストアが注目されるのは、HUAWEIのオリジナルOSが完成した後でしょう。
いやぁ完全にGoogleはやらかしましたね。上手いこと折り合いをつけてればこれほどの脅威にはならなかったと思う。
住むと泊まるを一つにした新住居「ユニット」–外泊した分家賃が安く
これはおもしろい!
おそらく割高にはなるんだろうけど、より多様な生き方を選択できる意味で価値は大きいと思う。
所有による行動の制限って悲しいですから。こういったサービスがこれから増々支持されてくるはず。
月額制動画配信サービスに関するアンケート結果が公開
Amazonプライムビデオの契約率がめちゃ高いのはプライム会員が多いせいと思ってた。
けど、ほぼ毎日観る人が「29.2%」もいるとなるとコンテンツとしても優れている証拠ですね。
思いっきり低コストでまず体験してもらって、後からじわじわ値上げ。この戦略はただのフリーミアムとは違ってすごく有効と感じた。
WeChatのミニプログラムが思わぬ大躍進
ミニプログラムがじわじわと主流になってる。
あらゆるサービスで大きな障壁となっているのは入り口の部分。インストールしてもらう+ログインアカウントを作ってもらうはかなり敷居が高い。
サービス内容が便利とか、楽しいとかコンテンツに目が行きがちだけど、入り口の敷居を下げることは超大事。
スーパーアプリが勝つ理由はこれが一番大きいと思います。
学習アプリ「N予備校」を3月から無償提供、新型コロナの休校要請を受けての取り組み
これはものすごい宣伝効果。そして実際に「オンラインで問題ないじゃん」となって、さらに入学者が増える。
日本の教育が少しずつ変わっている感ある!
