
エンジニアの仕事というのは、プログラムができればいい、というわけではありません。チームメンバとの対話はもちろん、顧客とのきめ細かいやり取りなど深いコミュニケーション能力が求められます。
特に、直接会話のコミュニケーションが特に重要です。僕はこれを接近戦と呼んでいますが、今回はこの接近戦能力がどうすれば上がるのかを取り上げます。
エンジニアに絞り込んだ内容では一切ありません。どの業種、コミュニティに関わらず通用する内容だと思います。
前もって断っておきますが、こちらは自分用にまとめたものですので、少し論文風な表現となっています。ご容赦を。
目次
接近戦とはなにか?
コミュニケーションとは人間同士の意思疎通である。
意思疎通の方法は何通りもあるが、主な方法としてこのあたりがある。
- リアル1vs1での会話(=最接近戦がこれ)
- リアル会議
- 電話(Skype会議など含む)
- LINEなどのチャット
- Googleメールなどの電子メール
- 交換日記や手紙
これらの意思疎通には2つの重要なファクターがある。「時間間隔」と「情報量」だ。
時間間隔
時間間隔とは、何を対象としているのか?だが、それは『次の言動までの思考する時間』となる。
つまり、相手からのアクションを受けてから、自分の次のアクションを実行するまでの時間だ。
上のリストでいうと上になるほど時間間隔は短い。
メールとチャットの差はここが最も大きいと言える。同じ文字でのやりとりだが時間間隔が圧倒的に短くなることが多い。
情報量
また、情報量も上になるほど多くなる。
一見文字として残るチャットやメールの方が多いように思えるが、リアル会話の方が圧倒的に多い。
理由は、会話には発する言葉以外にも、相手の話し方、癖や目配りなどの情報も含まれるからだ。
接近戦の定義まとめ
よって、ここで定義する接近戦とは以下とする。
「次の言動までの思考する時間が短い」かつ「見えている情報量が多い」コミュニケーションとする。
思考時間が短いとはどういうことか
取り消しが効かない
思考時間が短くなると、「高度に考慮された言葉が選べない」というデメリットが生まれる。
メールなどでは、書いた後に読み返して「やっぱりこういう表現にしよう」と書き直しているはず。
しかし、会話などではこれが一切できない。一度発した言葉は取り返せないのである。
正直ベースになりやすい
ただし、言葉が選べないということはメリットにもなる。
リズムよいやり取りになるがゆえ、ポンっと出てくる言葉はその人の正直な言葉になりやすい。
メールで高度に配慮された言葉どうしではなかなか進まない議論も、話してみたらすぐに解決するパターンが多いのはこのためである。
もちろん、配慮に欠いて摩擦が生じる可能性はあるが、多くの場合、摩擦が大きい方が良い結果となる。
情報量が多いとはどういうことか
本心が見えやすい
メールの文面だけだと感情がのりにくい。冗談のような言葉でも少し間違えればすごく怒っているような文面となってしまう。
それに比べて会話ではそのような勘違いは極力少なくなる。これはひとえに情報量が多いのだ。
言葉尻でははっきりしているようだけど、自信がなさそうな表情をしていればもっと話し合う必要がありそう、などの判断もより正確になる。
個人の能力に依存してしまう
ただし、この情報量には個人差が生まれる。
これらは一般的に「空気を読む」とか「行間を読む」とも言われるが、この能力は個人差が激しい。
人により読み取れる情報量が大きく変化してしまうことも特徴となる。
どうすれば接近戦に強くなれるのか
定義がはっきりしたところで、本題であるどうすればこの接近戦に強くなるのかを考察していこう。
思考時間からアプローチ
思考する時間が短い中で、より実りのある言葉を紡ぎだすにはより多くの知識量が必要となる。
テキストベースと違い、今の議題についてググることができないのでどうしても知識がないと会話は成立しない。
ただし、論点が明確な会議ではある程度用意はできるが、雑談などではそうとはいかない。
これが非常に難しいところで、普段から情報収集する他ないのだ。(つまり本質的には特効薬はない)
そして例え知識があっても、より状況に合わせた情報を取り出すのは多くの経験が必要となる。それにはやはり、多くの人(特に考えが違う異業種など)と会話をする他ない。
- 普段からたくさん書籍を読んだり、アンテナをはって多くの情報を集めている
- より多くの人との会話を経験する
情報量からのアプローチ
情報量が多くても、空気が読めていないと全く生かせない。
どうすれば空気が読めるようになるか?は非常に難度の高い課題だが、「メタ認知を上げる」が最も有効だと考える。
メタ認知という言葉は理解しにくいのだが、簡単に言えば「他人の目線で自分のことが見えるか?」ということ。
自分を俯瞰してみる、ということだが、これはいきなりできるようなことではない。
最も簡単で、効果が高い方法がある。それは会話中に常に「この人は何を言ってほしいのか?」を考えることだ。
もし自分の言いたいことが、相手にとっては言ってほしくないこと(興味がないこと)であれば絶対に言わない。
これは人によってはかなり厳しい。しかし、もしこれで話すことができなくなるのであれば、あなたはKY(空気読めない)であった可能性が高い。
- メタ認知を上げるトレーニングをする
- 「相手を中心にする」意識を常に持って会話をする
今すぐ使える対策案
とはいっても、すぐに有効な手法はないのか。ここでは筆者の考える策を挙げる。
ここで案としてあげたいのが、これ。
『自分はこうゆう人間だ、という価値観を確立しておく』
これは特に思考時間ではとても有効だ。
会話はテンポが重要なので、自分知識が少ない人でも思考時間をより短くしたいもの。
自分の軸がしっかりあれば、確実に思考時間は短くなるはず。
そして、これを言ってしまうと元も子もないのだが、軸があれば空気を読む必要もない可能性が大きい。
軸がしっかりある人というのは「こういう人だからしょうがない」という印象を持ちやすいから、かえって好印象になる場合もあるからだ。
筆者のおすすめは、自分はこういう人間だ、というのを文字に書くことだ。信念を持つとか座右の銘を決める、なんてのもこの類である。
まとめ
いかがでしたか?
メールのやり取りなら問題ないけど直接話すとどうもダメ、という人はよく見かけます。
そんな人に少しでも参考になればすごく嬉しいです。
もちろん、こうすればもっとよくない?という意見もあると思いますので是非あれば、お聞かせ願いたいです。(Twitterからどうぞ!)
